職務経歴書の資格は全部書くべき?採用側の本音と取捨選択ガイド

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転職活動を始めると、職務経歴書や履歴書の作成に追われますよね。特に資格欄については、「職務経歴書 資格 全部書く」といったキーワードで検索して、保有資格をどこまで記載すべきか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。「全部書いた方が努力家に見えるかな?」「でも、関係ない資格まで書くと見づらくなるかも…」そんな風に迷うのは、あなただけではありません。実は、私が以前キャリア相談を受けた際も、保有している資格が多すぎて書ききれないという悩みや、逆に資格なしの場合はどうすればいいのかという質問をよく耳にしました。資格の書き方一つで、採用担当者に伝わる熱意やスキルの見え方は大きく変わります。勉強中の資格も含めて、どのように記載するのがベストなのか、採用側の視点も交えながら一緒に考えていきましょう。

  • 職務経歴書と履歴書における資格記載の目的とルールの違い
  • 採用担当者が「会いたい」と感じる効果的な資格の選び方
  • 資格が多い場合や未経験職種への転職における戦略的な書き方
  • ATS(採用管理システム)を意識した正しい記載フォーマット

「職務経歴書で資格を全部書く」は非推奨。戦略的取捨選択の理由

「せっかく苦労して取った資格なんだから、職務経歴書には全部書きたい!」という気持ち、痛いほどよく分かります。数が多いほうが知識豊富で頑張り屋さんに見えるかも、なんて期待もしちゃいますよね。でも、はっきり言いますね。実はその「全部書く」戦略、職務経歴書においては逆効果になってしまうことがほとんどなんです。履歴書とは違い、職務経歴書はあなたの「売り込み資料」。ここでは、なぜ情報を戦略的に絞る必要があるのか、採用側の視点に立って深掘り解説していきますよ。

採用担当者が資格から読み取る3つの評価軸

採用担当者が応募書類の資格欄を見るとき、単に「何の資格を持っているか」というリストだけを見ているわけではありません。彼らはその行間から、もっと深い、あなたのビジネスパーソンとしての資質やポテンシャルを読み取ろうとしています。「資格マニア」と「実務家」の違いはどこにあるのか、採用のプロは以下の3つの視点で厳しくチェックしているんです。

まず第一に、「即戦力性・専門性の客観的な裏付け」です。これは最も分かりやすい基準ですよね。企業側は求人票に「必須要件(MUST)」や「歓迎要件(WANT)」として必要なスキルを明記しています。例えば、不動産売買の営業職であれば「宅地建物取引士」、経理職であれば「日商簿記検定2級以上」といった具合です。これらの資格は、あなたがその業務を遂行するための最低限の知識、あるいは即戦力として活躍できる専門知識を有していることを、第三者機関が保証してくれる「証明書」となります。実務経験とセットで記載されることで、その説得力は倍増します。「経験あります」と口で言うだけでなく、資格というファクトがあることで、採用担当者は安心して次の選考ステップへ進める判断ができるわけです。

第二に、「仕事への情熱と将来的な意欲」です。ここ、意外と重要なんですよ。特に未経験の職種に応募する場合や、若手ポテンシャル採用の場合、実務経験が不足していることは企業側も承知しています。そこで何を見るかというと、「本気でこの仕事をやりたいと思っているか?」という熱量です。志望する業界や職種に直結する資格を取得している、あるいは難関資格に挑戦しているという事実は、単なる「興味があります」という言葉以上の重みを持ちます。「忙しい仕事の合間を縫って勉強したんだな」「キャリアパスを真剣に考えているんだな」というポジティブな印象を与え、あなたの能動的な姿勢(プロアクティブさ)を強くアピールできるのです。

そして第三に、「基礎学習能力と継続力(ポータブルスキル)」の証明です。ビジネス環境は常に変化しており、入社後も新しい知識の習得は不可欠です。難易度の高い資格や、長期間の学習を必要とする資格(例えば税理士科目合格や高度情報処理技術者など)を持っていることは、その分野の知識だけでなく、「目標を定めて計画を立て、粘り強く努力を継続できる力」があることの証明になります。これは業界や職種が変わっても持ち運び可能な「ポータブルスキル」として高く評価されます。逆に言えば、簡単に取れる資格ばかりを羅列していても、この「学習能力の高さ」や「グリット(やり抜く力)」は伝わりにくいかもしれません。

採用担当者の本音:
「資格の数」ではなく、「なぜその資格を取ったのか」というストーリーが見えるかどうかが鍵です。一貫性のある資格取得歴は、あなたのキャリアビジョンの明確さを雄弁に語ります。

職務経歴書での資格選定基準:必須・優遇資格を最優先

では、手持ちの資格の中から具体的にどの資格を書くべきなのでしょうか?迷ったときは、「応募する仕事において、相手(企業)が価値を感じるかどうか」を唯一絶対の基準にしてください。自分目線ではなく、顧客(採用担当者)目線で情報をフィルタリングするのです。

履歴書は「過去の記録(History)」なので、公的な資格は網羅的に書くことが一般的ですが、職務経歴書はあくまで「未来の貢献(Value Proposition)」をアピールするプレゼンテーション資料です。情報の優先順位(トリアージ)を行い、以下のような基準で記載内容を決定しましょう。

優先度評価ランク資格の種類と具体例アクションプラン
最高A評価応募職種の必須・優遇資格
(例:不動産営業での宅建、開発職でのAWS認定、医療事務での診療報酬請求事務能力認定など)
最上位に配置し、必ず正式名称で記載。さらに職務経歴書の本文で、その資格知識をどう実務で活かしたか具体的に記述する。
B評価ポータブルスキル証明資格
(例:TOEIC 600〜700点以上、日商簿記2級、ITパスポート、普通自動車免許※営業職など)
業界を問わず基礎能力(語学力、計数感覚、ITリテラシー)を示せるものは記載推奨。特に未経験転職では強力な武器になる。
C評価過去の職歴でのみ関連した資格
(例:IT事務に応募する際の、過去の販売職で取った販売士検定など)
原則として省略を検討。ただし、スペースに余裕があり、かつ「学習意欲」を補強したい場合は、簡潔に記載してもOK。
D評価完全に関連性のない・陳腐化した資格
(例:趣味の検定、極端に古いPC検定、業務に関係ないスポーツ指導員資格など)
思い切ってカット(省略)。これらを記載することは、情報のノイズとなり、アピールポイントをぼやけさせる原因になる。

例えば、あなたが企業の総務職に応募するとします。A評価の「衛生管理者」やB評価の「簿記」「PCスキル」は必須ですが、学生時代に取った「世界遺産検定」や「フードコーディネーター」はどうでしょう?これらは面接時のアイスブレイク(話題作り)としては有効かもしれませんが、職務経歴書の限られたスペースを使ってまでアピールすべき「実務能力」ではありません。このようにメリハリをつけることで、採用担当者の目を本当に見てほしいポイントに誘導し、「この人はうちの業務をよく理解している」と思わせることができるのです。

関連性の低い資格は「ノイズ」となり評価を下げる

この「ノイズ」という概念、実は多くの求職者が見落としがちなポイントなんです。「せっかく持っているんだし、書いて損はないだろう」「空欄が多いよりは埋まっている方が見栄えが良いのでは?」と思いがちですが、実はその判断が命取りになることがあります。

想像してみてください。あなたがITエンジニアの採用担当者だとして、応募者の職務経歴書を見ているとしましょう。スキル欄に「Java Gold」「AWS Solution Architect」と並んでいれば「おっ、即戦力だ!」と思いますよね。しかし、その間に「フォークリフト運転技能者」「調理師免許」「アロマテラピー検定1級」「普通自動二輪車免許」などがごちゃごちゃと羅列されていたらどう感じるでしょうか?

おそらく、「この人はエンジニアとして何をアピールしたいんだろう?」「とりあえず何でも書いているだけで、キャリアの方向性が定まっていないのでは?」「情報の取捨選択ができない人(=仕事の要領が悪い人)かもしれない」といったネガティブな疑問を抱いてしまうはずです。これが情報の「ノイズ」です。人間が一度に処理できる情報量には限りがあります。不要な情報が多すぎると、本当に伝えたい「Javaができる」という強烈なメッセージが埋もれてしまい、印象に残らなくなってしまうのです。

ここが落とし穴!
「多才」であることと、「職務適性」があることは別物です。職務経歴書は自叙伝ではありません。相手のニーズに関係のない情報は、潔く削ぎ落とす勇気を持ってください。その「余白」こそが、あなたのプロ意識を際立たせるのです。

もちろん、どうしても書きたい個性的な資格がある場合は、職務経歴書の末尾に「趣味・特技」欄を小さく設け、そこに記載するのがスマートです。「資格欄」に堂々と書くのではなく、「人柄を知ってもらうための補足情報」として位置づけることで、ノイズ化を防ぎつつ、面接での会話のきっかけを作ることができますよ。

未経験へのキャリアチェンジ:ポータブルスキル証明を重視

「未経験の職種に挑戦したいから、応募先に直結するような実務経験も関連資格もないんです…」と不安に思っている方も、安心してください。むしろ、そういったキャリアチェンジの局面こそ、資格欄の戦略的活用が合否を分ける鍵になります。ここでキーワードとなるのが、業界が変わっても持ち運び可能な「ポータブルスキル」です。

企業が未経験者を採用する場合、即戦力スキルがないことは百も承知です。その代わりに見ているのは、「入社してからどれだけ早く仕事を覚え、成長してくれそうか(キャッチアップの早さ)」や「基礎的なビジネス戦闘力があるか」という点です。ここで資格が活きてきます。

例えば、飲食店の店長から未経験でIT企業の営業職を目指す場合を考えてみましょう。プログラミングの資格は持っていないかもしれません。しかし、もしあなたが「日商簿記2級」を持っていれば、それは単に経理ができるということだけでなく、「数字に強く、コスト意識や利益感覚を持ってビジネスができる」というポータブルスキルの証明になります。「ITパスポート」を勉強して取得していれば、「未経験なりに業界用語や基礎知識を予習してくるだけの学習意欲とリテラシーがある」と評価されます。

ポータブルスキルの例:
論理的思考力、課題解決力、計数感覚、語学力、対人折衝力、ITリテラシーなど。これらは特定の業種に依存せず、あらゆる仕事の土台となる能力です。

また、難関資格への挑戦プロセスそのものもアピール材料です。合格に至らなくても、あるいは全く別の分野(例えば法律系の行政書士など)の資格であっても、それを取得するために「1年間、毎日2時間の勉強を継続した」という事実は、あなたの「自己管理能力」や「目標達成意欲」を強力に裏付けます。職務経歴書の自己PR欄などで、「〇〇の資格取得を通じて培った継続的な学習習慣と粘り強さは、貴社の業務における新しい知識の習得にも必ず活かせると確信しております」と繋げることで、未経験のハンデを「ポテンシャル」という期待値に変えることができるのです。

(出典:厚生労働省『職業能力評価基準』では、業種横断的な職業能力の重要性が示されています)

資格が多い場合の取捨選択術とレイアウト調整

素晴らしいことに資格をたくさんお持ちの方、いわゆる「資格ゲッター」の方もいらっしゃいますよね。その向上心と努力は本当に尊敬に値します。ですが、職務経歴書においては「読みやすさ(リーダビリティ)」が命です。採用担当者が1通の書類に目を通す時間は、わずか数分、場合によっては数十秒と言われています。その短い時間で「おっ!」と思わせるには、情報の整理整頓が欠かせません。

もし資格が多すぎて欄が長くなりすぎたり、重要な資格が埋もれてしまいそうなら、以下のようなテクニックを使って情報を構造化しましょう。

1. カテゴリ分け(グルーピング)をする
ただ取得順に並べるのではなく、資格の属性ごとにグループ化して見出しをつけます。これにより、採用担当者は自分に必要な情報に瞬時にアクセスできます。
例:
【IT・技術関連】基本情報技術者、AWS認定ソリューションアーキテクト
【語学】TOEIC公開テスト 800点
【その他】普通自動車第一種運転免許

2. 重要度順に並べ替える
時系列(取得年順)にこだわる必要はありません。応募職種にとって最もインパクトのある「キラー資格」を一番上に配置しましょう。ファーストビューで強みを印象づける心理テクニックです。

3. 「主な取得資格」として抜粋する
あまりに数が多い場合は、タイトルを「保有資格」ではなく「主な取得資格(関連性の高いものを抜粋)」とし、数を絞って記載するのも一つの手です。そして面接の場で「実は他にもこういった資格を持っており、幅広い分野に興味があります」と口頭で補足すれば、奥ゆかしさと知的好奇心の高さを同時にアピールできます。

読み手への配慮(ユーザービリティ)ができるかどうかも、立派なビジネススキルの一つ。情報を整理して、「伝えたいこと」を明確にするデザインを心がけてみてください。あなたの経歴書が、「読みやすい!会ってみたい!」と思われる一枚に変わりますよ。

成功へ導く「職務経歴書で資格を全部書く」からの脱却と記述テクニック

「書くべき資格」と「削るべき資格」の基準はクリアになりましたね。では、次はいよいよ具体的な「書き方」の実践編です。「え、ただ資格名と日付を書くだけじゃないの?」と思ったあなた、要注意ですよ!ここにも、近年の採用トレンドであるATS(採用管理システム)への対策や、あなたのプロフェッショナル度を底上げする細かい作法が存在します。神は細部に宿る、です。

資格・免許欄の基本フォーマットとATS対策

最近の中堅〜大手企業や転職エージェントでは、膨大な応募書類を効率的に処理するために、ATS(Applicant Tracking System:採用管理システム)を導入しているケースが急増しています。このシステムは、応募書類から特定のキーワードを抽出して自動的にスクリーニング(選別)を行うことがあります。ここで極めて重要なのが、「正式名称」で正確に記載することです。

人間が見れば「宅建」と書いてあっても「ああ、宅地建物取引士のことね」と脳内で変換してくれますが、システムはそうはいきません。「宅地建物取引士」というキーワードで検索をかけている場合、「宅建」と書かれたあなたのレジュメは検索にヒットせず、選考のテーブルに乗る前に弾かれてしまうリスクすらあるのです。また、人間が読む場合でも、略称を使用することは「ビジネス文書のマナーを知らない」「雑な性格かもしれない」というマイナスの印象を与えかねません。

間違いやすい略称と正式名称の対照表

NG:略称(カジュアル)OK:正式名称(履歴書・職務経歴書用)
普免、普通免許普通自動車第一種運転免許
(※AT限定の場合はその旨も記載)
宅建宅地建物取引士
(※合格のみの場合は「宅地建物取引士資格試験 合格」)
英検2級実用英語技能検定 2級
簿記2級日本商工会議所簿記検定試験 2級
(※日商簿記の場合)
FP、ファイナンシャルプランナー2級ファイナンシャル・プランニング技能士
(※国家資格の場合)
MOSMicrosoft Office Specialist Word 365 Associate
(※バージョンと科目まで正確に)

また、日付の記載についても注意が必要です。履歴書や職務経歴書全体で、西暦(202X年)か和暦(令和X年)かを統一してください。ここがバラバラだと、非常に読みづらく、几帳面さに欠ける印象を与えます。取得年月は、資格証書を確認して正確に記入しましょう。「たしか夏頃だったかな…」といった曖昧な記憶で書くと、後で事実と異なった場合にトラブルの元になります。

TOEICスコアなど語学力の記載基準と有効性

グローバル化が進む現代において、語学力は強力な武器です。しかし、「自信がないスコアなら書かない方がマシ?」と悩む声もよく聞きます。一般的な基準としては、TOEIC(L&R)公開テストで600点以上が、履歴書・職務経歴書へ記載する際の一つのラインと言われています。これは、英語の基礎力があり、業務上の簡単な読み書きや定型的なやり取りが可能とみなされるレベルです。

ただし、この基準は応募する職種や企業のレベル感によって変動します。
英語を使わない職種: 600点あれば「基礎能力が高い」「努力できる人」としてプラス評価。
一般的なビジネス職: 700〜750点以上で「英語に抵抗がない」と評価。
外資系・海外営業職: 800〜900点以上が求められることもあり、600点だと逆に「英語力不足」と判断されるリスクも。

もしスコアが600点未満の場合や、取得から5年以上経過していて現在の実力を反映していない場合は、記載を控えるのが無難かもしれません。しかし、「現在スコアアップのために猛勉強中である」という文脈であれば、意欲を示すためにあえて記載し、備考欄に「現在700点突破を目指して学習中(直近の模試では〇〇点)」と補足するのも高等テクニックです。

また、TOEICには企業や学校で実施される「IPテスト(団体受験)」もあります。スコアの有効性は公開テストと同等とみなす企業が多いですが、公式認定証(Official Score Certificate)が発行されないケースもあります。履歴書に書く際は、誤解を防ぐために「TOEIC IPテスト 650点取得」のように、テストの種類を明記するのが最も誠実な対応です。

(出典:IIBC 国際ビジネスコミュニケーション協会『TOEIC Program DATA & ANALYSIS』などの公開データで、受験者平均などを確認しておくと客観的な立ち位置がわかります)

専門資格の「合格」と「取得(登録)」の正しい使い分け

ここは法的な正確性が求められる、非常にデリケートな部分です。特に士業(税理士、社会保険労務士、行政書士など)や不動産系の資格(宅建士など)では、「試験に受かった状態」と「登録を済ませて資格者として名乗れる状態」が明確に区別されています。

  • 合格: 試験には合格しているが、実務経験要件を満たしていない、または登録手数料を払って登録手続きをしていない状態。この段階で「〇〇士」と名乗ることは法律で禁止されている場合があります(名称独占など)。
    書き方例:「宅地建物取引士資格試験 合格」「日商簿記検定試験 1級 合格」
  • 取得(登録): 試験合格後、登録講習の受講や実務経験の証明を経て、名簿への登録が完了し、資格証(ライセンス)が発行されている状態。
    書き方例:「宅地建物取引士 登録」「社会保険労務士 登録」

採用担当者は、あなたが「すぐに入社して資格を使った独占業務ができるのか(登録済み)」、それとも「知識はあるが、業務を行うには登録手続きや講習が必要なのか(合格のみ)」を知りたがっています。ここを曖昧にして「宅地建物取引士 取得」と書いてしまうと、入社後に「え、重要事項説明できないの?登録してから来てよ」とトラブルになる可能性があります。正確なステータスを記載することは、あなたの信頼性を守るためにも必須です。

勉強中・取得予定の資格で入社意欲をアピール

「まだ合格していないから、資格欄には何も書けない…」と諦めるのは早すぎます!特に未経験分野への転職活動においては、「現在進行形で勉強中であること」自体が、最強のアピール材料になり得るのです。

中途採用の面接では、「未経験ですが頑張ります」という精神論よりも、「未経験なので、不足を補うために〇〇の勉強を始め、現在は△△のレベルまで理解しています」という具体的な行動事実(ファクト)が評価されます。資格欄の最後や備考欄、あるいは自己PRと絡めて、次のように戦略的に記載してみましょう。

  • 「202X年10月 宅地建物取引士資格試験 受験予定(現在、過去問で合格ライン8割を安定して得点中)」
  • 「基本情報技術者試験の取得に向けて学習中(202X年X月 受験予定)」
  • 「現在、オンラインスクールにてプログラミング(Python)を学習中(総学習時間200時間突破)」

このように、単に「勉強中」と書くのではなく、「具体的なゴール(受験予定日)」や「進捗状況(学習時間や理解度)」を添えるのがポイントです。これにより、「口先だけでなく本当に行動している人だ」「入社後も自走できる人だ」というポジティブな評価を引き出すことができます。これは、実績の「穴」を未来への「投資」で埋める、非常に有効なアピール方法ですよ。

資格知識を実務実績と連携させるアピール方法

資格を持っていること自体ももちろん素晴らしいのですが、採用担当者が本当に知りたいのは「その資格の知識を使って、実務でどんな成果を出したのか」という点です。厳しい言い方をすれば、どんなに難関な資格を持っていても、実際の仕事で使えていなければ「宝の持ち腐れ」や「ペーパードライバー」と同じだと思われてしまうかもしれません。

そこで重要になるのが、職務経歴書の「職務要約」や「職務詳細(プロジェクト実績)」の欄で、資格と実務をガッチリと紐付けてアピールすることです。単に資格欄に「〇〇取得」と一行書くだけで終わらせず、本文中でその資格がどのように活きたのかをストーリーとして語りましょう。

具体的な書き方の例をいくつか挙げてみますね。

【ケース別】資格×実務のアピール例文

  • 営業職 × FP(ファイナンシャルプランナー)の場合:
    「単なる商品提案にとどまらず、FP2級の知識を活かしてお客様のライフプランや税制面まで考慮した総合的な資産形成を提案。結果、信頼獲得に繋がり、成約率が部内平均の1.5倍となる〇〇%を達成しました。」
  • 事務職 × ITパスポート・MOSの場合:
    「ITパスポートで得た知識を基に、部署内のデータ管理ルールの見直しを提案。Excelのマクロ(VBA)を活用して集計業務を自動化し、月間20時間の工数削減に貢献しました。」
  • エンジニア × AWS認定資格の場合:
    「AWS Solution Architect Associateの学習で得たサーバーレスアーキテクチャの知見を実際のプロジェクトに導入。従来のインフラコストを30%削減しつつ、可用性を高めるシステム構築を実現しました。」

どうでしょうか?ただ「資格を持っています」と言うよりも、ぐっと説得力が増しますよね。このように書くことで、資格が単なる「飾り」ではなく、企業の利益を生み出すための「実用的なツール」であることを証明できるのです。

また、もし実務で直接使った経験がまだない場合でも、「資格取得のプロセス」そのものをアピールに繋げることも可能です。「難関資格である〇〇の取得にあたり、半年間の学習計画を立て、進捗を週次で管理しながら完遂しました。この目標達成に向けた計画力と実行力は、貴社のプロジェクト管理業務でも活かせると考えています」といった具合です。資格という「点」を、業務という「線」に繋げて、あなただけのキャリアストーリーを描いてください。

虚偽記載となる行為の回避と倫理的要件

記事の締めくくりに入る前に、絶対に避けて通れない、そして最も重要な注意点をお伝えします。それは、職務経歴書において「嘘を書かない」ということです。「え、当たり前でしょ?」と思われるかもしれませんが、実は「少しでも良く見せたい」という焦りから、無自覚に近い形で経歴詐称のリスクを犯してしまうケースが後を絶たないのです。

具体的には、以下のような行為が虚偽記載(経歴詐称)に該当する可能性があります。

  • 保有していない資格を書く: 「勉強したから知識はあるし、バレないだろう」と合格していない資格を書くこと。これは完全にアウトです。
  • スコアや級数のサバ読み: TOEIC 550点なのに「600点」と書いたり、簿記3級なのに「2級」と書いたりすること。
  • 失効した資格を有効なように書く: 有効期限切れや、更新講習を受けていないために資格を喪失しているにもかかわらず、現役の有資格者であるかのように装うこと。
  • 「合格」と「取得」の偽装: 前述した通り、試験合格のみで登録していないのに「〇〇士」と名乗ること。

「たかが資格ひとつで…」と軽く考えるのは非常に危険です。多くの企業では、内定後や入社手続きの際に「資格証明書」や「合格証書」の原本または写しの提出を求めます。また、バックグラウンドチェック(採用調査)を行う企業も増えています。もしそこで虚偽が発覚すれば、内定取り消しはもちろん、入社後であっても「重大な経歴詐称」として懲戒解雇の対象になる可能性が極めて高いです。

信頼こそが最大の資格です
一度失った信用を取り戻すのは不可能に近いです。仮に嘘をついて入社できたとしても、実力が伴わずに現場で苦労するのはあなた自身ですし、「いつバレるか」とビクビクしながら働くのは精神衛生的にも良くありません。

もし、どうしてもアピールしたいけれど自信がない部分があるなら、正直に「勉強中」「取得に向けて努力中」と書くべきです。ビジネスの世界において、スキル以上に重視されるのは「誠実さ(インテグリティ)」です。ありのままの事実を、戦略的に、かつ誠実に伝えることこそが、プロフェッショナルとしての第一歩ですよ。

転職成功のため職務経歴書で資格を全部書く必要はない

ここまで、職務経歴書における資格記載の戦略について、かなり詳しくお話ししてきました。「全部書くべきか?」という最初の疑問に対して、今のあなたなら自信を持って答えが出せるはずです。

結論、「全部書く必要はありません。むしろ、相手に合わせて選んで書くことが正解」です。

職務経歴書は、あなたの過去の全てを記録するデータベースではありません。採用担当者という「読み手」に対して、「私を採用すると、こんなメリットがありますよ」と提案するプレゼンテーション資料なのです。だからこそ、相手のニーズに関係のない情報は思い切って削ぎ落とし(ノイズの除去)、相手が求めているスキルや、あなたのポテンシャルを示す情報だけを際立たせる(ハイライト)必要があります。

「資格の数」=「優秀さ」ではありません。「情報の取捨選択ができる判断力」と「相手の視点に立てる配慮」こそが、優秀なビジネスパーソンの証です。

手持ちの資格を整理し、応募する企業ごとにカスタマイズして記載することは、少し手間がかかる作業かもしれません。でも、そのひと手間が、「この人はうちのことをよく理解している」「会って話を聞いてみたい」という採用担当者の心を動かすきっかけになります。

あなたのこれまでの努力の結晶である資格たちが、最適な形で輝き、理想のキャリアチェンジを実現する強力な武器となることを、心から応援しています。自信を持って、戦略的な職務経歴書を作り上げてくださいね!